The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第2章 The dawn ー始まりー
ーピピピ…ー
=あなたの名前は?=
『……如月、悠…。』
=年齢は?=
『…19』
=なぜ、ここにいるのですか?=
『そんなの、こっちが聞きたいね……。』
真面目に淡々と質問に答えていた私だったが、その質問に少し腹が立って…
私は吐き捨てるように言った。
……すると、パソコンは淡々と同じ質問を繰り返す。
=なぜ?=
『……?』
=なぜ?=
=なぜ?=
=なぜここに?=
……壊れてしまったかのように同じ言葉を繰り返すパソコン…。
驚いたのか、レイチェルは少しずつゆっくりと後ずさった。
なんだか、少し怖い……。
私も少しだけ気圧されて、たじろいだ。
……壊れたのか…?
そう思いつつ、壊れてしまったかのように同じ言葉を繰り返すそのパソコンに、真面目に質問の答えを返す。
……私なりの、"答え"…ー
『……わからない。
わからないからこそ、その答えを今から見つけに行くところだ。
この目で見て、この耳で聞いて、この肉体で感じる……。』
そこで一旦言葉を切ってから、胸元に手をそっとあてがい、瞼をゆっくりと落としていく……。
真っ暗な視界の中、ふっと一気に短く…そして深く息を吐いてから再びその瞼を押し上げた。
白と黒とで味気ない空間にある、そのパソコンの白々しい画面を見つめながら、言ってやった。
『……全てを、これから自分自身で確かめに行くところだ……‼』
ーピピピー
パソコンの小さな電子音が鳴り響く……。