• テキストサイズ

The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第7章 Floor B4 ー地下4階ー





私やザックがレイに視線を向けると、レイは静かにゆっくりと奥の壁を人差し指1本で指し示した。

……その壁には、小さめの亀裂が入っている。


『……これ、何処まで続いているんだろう…。』


……正直、少し怖かった。
この亀裂の大きさでは、私は入れない。…もちろん、ザックも……。

レイが1人で奥に行かなくてはならない。
そんな、よくわからない場所にレイを1人で行かせるのは、どうしても怖かった。

そう考えていた矢先……
ザックが口を開いた。


「……入るにしても、俺じゃこいつじゃ無理か。
 おい、レイつったよな?……お前行ってこい。」


……あ、
私やザックじゃ入れないってことは理解出来たのか……。


「……おい。
 お前、今すげぇ失礼なこと考えてただろ。
 顔に出てたぞ。」

『……何のことかな〜?』


ザックの言葉に、私は視線を泳がせてしらばっくれた。


「……ちっ。
 まぁ、良い。
 ……ただお前、逃げたりするんじゃねぇぞ。」


そんな私に舌打ちを吐き捨てたザックが、レイの細い首筋に大きな鎌を突きつけた。


「……私は逃げない。
 ……殺されていないから。」


レイはそんなザックを冷めたような瞳で見つめ、淡々とした口調で言う。


ー 殺されていないから… ー


私の頭の中でプツン……__と"何か"が切れた音がした。
グワングワンと、頭が揺れる。
私の視界が、グニャリと歪んでいく……。


「……!?」

「…悠?
 どうして、泣いているの……?」

『…え……?』



/ 373ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp