The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第7章 Floor B4 ー地下4階ー
「……でもこれ、私の名前。」
真新しい、ひときわ大きなそのお墓には……
ー レイチェル=ガードナー ー
レイの名前が丁寧に彫られてあった……。
その綺麗な真新しい、大きな墓石の隣には……
ー 如月悠 ー
同じように綺麗で真新しい、大きな墓石があった。
その墓石には、当然かの如く、私の名前が彫られてあった……。
『こっちには、私の名前……。』
同様に、美しいお墓に動揺しつつ私はそう呟いた。
「……すると、
この岩は俺のってことか?ああ!?」
私とレイの背後で、ザックがイラついた口調で言う。
ザックの視線の先には、大きな岩と穴……。
……お墓と言うには、あまりにも雑でお粗末な有り様だ……。
ザックは怒って、その岩を力一杯蹴った。
……ああ、そんなことしちゃ……。
「痛ってぇっ‼‼」
…………でしょうね。
思った通り、ザックは右足を押さえて叫んだ。
私は苦笑して、ザックの背中を慰めるようにポンポンと軽く叩いた。
『……でも、もうここには何も見当たらないね。
とりあえずは、全部調べちゃったかな……。
でも、奥の方は空いてなかったし……。』
私が考え込んでふっと呟くと、そんな私の考えを否定する声が上がった。
「……1つだけ、この部屋でまだ調べていない……調べられそうな場所がある。」