The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第7章 Floor B4 ー地下4階ー
「……寒ぃな。」
「……水の音がする。
それに、薬臭い……。」
ザックとレイが言うように、
この部屋はとても冷えて寒いし、薬品くさい……。
私の来ている薄いカーディガンの下の服はノースリーブで、耐え難いほどに寒い。
……レイは露出の多い服だから、もっと寒いのではないか…と、心配になる。
……しかし、彼女の表情は薬品の匂いに少し顔をしかめただけで、あとはずっと無表情だった。
「……あー。
何か入ってねぇのかよ。」
ザックがその部屋にあった、冷蔵庫と思われる横長の箱を開けた。
……ひやりとした冷気が広がって、更に辺りの温度を下げていく。
と、その時……。
私はその箱の中身を見て凍りついた……。
「うお。
死体じゃねぇか……。」
____死体だ……。
冷蔵庫の中に入っていたのは、手も足も、首も……いとも簡単に取れてしまいそうな、腐りかけの男性の死体だった……。
死体には薄い透明なビニールがかけられてあり、付箋のようなメモ書きが貼り付けられている。
ワトキン=ベケット(36)
死亡場所-B3
死因 -銃弾による失血死
※体の破損が激しいため、取り扱いに注意