The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第2章 The dawn ー始まりー
その部屋も、また……
殺風景な部屋だった。
壁一面を、鏡のようなものが覆っている部屋だ…。
『……パソコン…?』
その部屋には机の上にポツン…と、
まるで忘れ去られてしまったかのようなパソコンが居心地悪そうに1つだけ置かれていた……。
……電源のボタンを押してみても、そのパソコンはうんともすんとも言わない。
『……故障、かな…?』
1人でぼやく私をよそに、レイチェルはその鏡のような壁に向かっていく。
「……。」
レイチェルが1つの壁の前で立ち止まる。
その行動が気になって、私はパソコンの所から、彼女の背中に向かって問いかけた。
『…どうしたの?レイチェル。』
「……ここだけ。
ここだけにしか、姿が写らない…。」
私の問いかけに、レイチェルは不思議そうに首を傾げながら答えてくれた。
私も変に思い、更に問いかけた。
『……そこだけしか、鏡じゃないの…?』
「…わからない。
けれど、ここにしか姿が写らないのは確か……。」
『…へぇ……。』
私は、レイチェルのその曖昧な答えに首を傾げつつ、同様に曖昧な返事を返した。
レイチェルは、鏡に写っている自分のその華奢な身体を、自身の姿を…まじまじと見つめている……。
ー…カチッー
ーウィィイイイン……ー
すると、どこからともなく…。
電子音が聞こえてきた。