The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第6章 Daydream ー夢ー
……だって、
B6で追いかけてきた…。
私が対峙して、互いに睨み合った…、あの殺人鬼の腕の中に私が居たから……。
……え。
何、この状況……。
『〜っ!?』
「お、おい!?
暴れんな……‼」
殺人鬼の腕から飛び退いた私は、懐の得物に手を伸ばした。
「……。」
すると、どうしたことか……。
レイチェルが無言で私と殺人鬼の間に立った。
『……レイチェル?
そこを、退いてほしい……。』
「……退いてしまったら、悠はきっとこの人を殺そうとしてしまう……。
それだけは、絶対にダメ……。」
レイチェルはか細いその両手をめいっぱい広げて、"通せんぼ"をした。
『……レイ、チェル…?
一体、何が……。』
「……私は、生きていてはいけないの……。」
その時のレイチェルは、とても13歳の少女とは思えない、冷たくて悲しい瞳をしていた。
「……それと、悠。
私のことを"レイ"と呼んでほしいの……。」
『……どうして?』
私は、戦闘体制を解いて、レイチェルにそう訊ねた。