The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第6章 Daydream ー夢ー
《__……嗚呼。
少し、混乱していらっしゃるのですね。
……大丈夫ですよ。
私は、いつでも貴女の味方ですから……_____》
『味、方……?』
穏やかにそう答えた声に、私は震えた声でそう訊ね返した。
《__ええ。ですから、ご安心を……。
命令をいただければ、私は貴女の為に何でもして差し上げますよ。
……そのための、"契約"ですから……____》
『……___。』
ーキンッ……‼ー
『っ……‼』
思い出そうとすると、どうしても頭が痛む。
まるで…何かが、私が記憶を取り戻すのを阻んでいるような……。
思い出そうとして酷い頭痛でよろけた私は、ぐっと膝に力を込めて、壁に手をつくことでなんとか倒れずに済んだ。
……ここで、倒れるわけにはいかない…。
倒れてしまっては、よくわからない肉塊や血液がついてしまう。
それだけは、怖かった。
目の前に、"死"を明言されるのは……嫌だった。
《……嗚呼。
あまりご無理をなさらないでください。
大丈夫です、大丈夫ですよ……。
貴女を脅かす何もかもは、全て……私が消して差し上げますから……____》
囁かれたその恐ろしい言葉は、
私にとっては、何故だか……
甘美で、優しくて……
まるで毒のようだった……。
…………悠。___
……ああ。
また、誰かが私を呼んでいる。
……この声は、誰のものだったかな……。
私は、閉じていた瞼を震わせて、ゆっくりと瞼を押し上げた…………。