The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第6章 Daydream ー夢ー
「……お嬢様が居眠りだなんて珍しい…。
何か、夢でも見ましたか……?」
『ん……?そうかな……。
…ああ。すごく長くて変な夢を見ていた気がするよ……。
……なんだか、とても現実味がある……というか……。
生々しい、夢だったよ。』
「……そうですか。」
傍に控えていたメイドに、私はふっと笑って言った。
メイドも少しだけ笑って、すぐに書斎を後にした。
普段、部屋に篭って書類やら何やら1人で仕事をしている私に気を使って、気が滅入ってしまわないように……とメイド達がたまにこうやって顔を出すのだ。
1人になった私は、ふと夢であろう…先程までのことを思い返す。
……レイ。
レイチェル……。
レイチェル=ガードナー……だったかな。
私は彼女のやけに鮮明に残っている姿を思い出す。
想像の中で、彼女がゆっくりと動いた。
金色の髪がふわりと揺れる。
彼女の青い瞳は、どこまでも淡く澄んでいて、それでいて空虚で、暗い影を落としていて……。
今にも、壊れてしまいそうだった。
1人になって暇な私は、頬杖をつきながらふと、窓の外を見た。
窓の外の高い青空は、遠くまで…地平線と交わるところまで広がっていた……。
……そう。彼女の瞳も、こんな色だった。
とても、綺麗な女の子……。
そんなことを考えてから、ふと思った。
……あれ?
ここって、こんなにも何も無かったかな……。
私は立ち上がった。