The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第6章 Daydream ー夢ー
「____社長。
……如月お嬢様…‼」
……嗚呼。
私を、呼ぶ声が聞こえる……。
暗闇にフェードアウトした私の視界が、白い光に包まれ…
世界が、徐々に形と色を取り戻していく……。
「……お嬢様。
お疲れのようですが、これにサインをお願いします。」
苦笑して書類を差し出していたのは、燕尾服を着た、長身の男性だった。
『……あ、ああ。すまない。
すぐにサインをするよ。』
書類を受け取って、サラサラとペンを紙に走らせた。
それからその書類を彼にへと返した。
「ありがとうございます。
……それと、今度の会社設立1周年記念のイベント案。
書類をフォルダーにまとめておきましたので、目をお通し下さい。」
『……ああ。
そういえば、そんなことを言っていたね。
わかった。目を通しておこう。』
私が1つ頷いてそう言うと、彼はにこやかに微笑んだ。
「ありがとうございます。それでは、失礼致します。
……ですがお嬢様、仕事のし過ぎはダメですよ?
体調を崩してしまっては元も子もありませんからね……。」
そう言い残して、彼は去っていった。
『……全く。余計なお世話だ。』
私は苦笑して、溜息を吐いた。
これは、普段の仕事の風景だ……。
何ら変わりない。