The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第5章 Floor B5 ー地下5階ー
「……じゃあ、レイチェル、悠。
そろそろ行こうか。早く、ここから出ようね。」
『……はい。』
「わかった…。」
私とレイチェルは、"ダニー先生"の声に深く頷いて答えたのだった。
そのフロアを探索するため、レイチェルとダニー先生、私の2手に分かれた。
……暗い、部屋…。
これは、一体……?
手術台の置かれてあった部屋の壁に、書かれている文章が視界に写った。
……何処かで、見たことにあるような字体だな…。
ー自分の望みを知っているかー
ー欲望を知っているかー
ーそれが本能であるならば抗う意味など無いに等しいー
ーなぜならそんな意味にすら、ここにいる君は持たないのだからー
ーただし望みには対価がいるー
ールールは破らぬようにー
……レイチェルが言っていた"ルール"って、これのことかな…?
私はその意味ありげな文章を手でそっとなぞってから読んだ。
その部屋を出てから、更に奥の廊下にへと歩を進めた。
『っ……。
何?この部屋…。
埃っぽい……。』
むせ返りそうになりながらも、私は口元を手で覆って部屋の中を歩いた。
『……何も無い…かな……。』
諦めて、元来た道を戻ろうかと思ったその時……。
壁に、"何か"を見つけた。
……なんだろう?
私は壁際にそっと歩み寄った。