The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第4章 Serial killer ー殺人鬼ー
ーガン…ッ‼ー
鋭い金属音が、鼓膜を…身体を震わせた。
「っ……。
テメェ…っ。んなもん、どこから…!?」
痺れるような振動と音で、殺人鬼は大きな鎌を取り落とし、耳を塞いで私を睨みながらぎゃんぎゃんと喚く。
『懐からに決まってるでしょ……‼
ざまぁみろ……‼』
痺れた右手を振りつつ刃を剥き出しにした短刀を鞘にしまう。
何故か手元にあった小さな日本刀のような、その短刀。
違和感はあまり無かった。
気がついた時には、それが手元にあったのだ。
…右手が、どうしようもなく震えてしまう。
強い衝撃を受けて、麻痺してしまったみたいだ。
……しばらくは、使い物にならないな……。
だが、どうやらそれは相手も同じようで、
殺人鬼はその場に蹲りこちらを睨んでいる。
どうやら私は意外にもタフらしい。
痺れて震える右手をじとっと見つめて、歩き出した。
「待ちやがれ……‼」
『"待て"と言われて待ってくれる人がいるとでも!?』
殺人鬼の罵倒を背中に浴びながら、私はエレベーターにへと走った。
殺人鬼の叫びに私はそう叫び返したのだった。