The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第4章 Serial killer ー殺人鬼ー
……ダメだよ。レイチェル…。
生きて……。
『っ……‼
止まるんじゃないっ‼
走れ…‼走るんだっ‼レイチェル=ガードナーっ‼‼』
私は、レイチェルを叱咤する意味を含めて、彼女名ををフルネームで叫んだ。
私のそんな叫びに憑かれたように、ダッとレイチェルが走り出す。
それを見送ってから、再び殺人鬼に目線を戻しそいつを睨んだ。
「……お前、馬鹿かよ‼
逃げてりゃ、死なずに済んだのによぉ……‼」
『…君が、逃がしてくれるとは思えないんでね……。』
楽しげに笑う殺人鬼に、私は鋭く言い放った。
…すると、殺人鬼はこう続けた。
「連れのガキがいただろ。
…走りゃ、あれの方が先に死んでた。」
『っ……‼』
……そうだ。
レイチェルは、まだ13歳の少女…。
2人で逃げていたら、彼女の命が危うかったかもしれない……。
…こっちを選択して、本当に良かった……。
心から安堵して、ふっと息を吐く。
……きっと大丈夫。
私には、奥の手があるから……。
そう考えてから、私はそっと口を開いた。
『……でも、彼女は殺させない…‼』
少し余裕を取り戻した私は、ふっと不敵に笑って言った。
それが気に入らなかったのか、殺人鬼は表情を少し歪めた。
「……そうかよ‼」
…まるで、それが合図だったかのように…、
殺人鬼が片手で持っている大きな鎌を振り上げて素早く振り下ろした……。
それは、何故だかひどく遅くてゆっくりで…、
まるでスローモーションに見えた……。