The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第4章 Serial killer ー殺人鬼ー
「ヒャハハハハハッ‼」
「…っ!?」
『っ!?
な……!?』
部屋を出た瞬間…。
あの耳障りな、殺人鬼の高笑いが聞こえた。
私とレイチェルは、2人揃って辺りをキョロキョロと見回す。
直後……__
ー…ドンッ‼ー
上から殺人鬼が降ってきた。
『っ…。
またなの……!?』
私の叫びに、殺人鬼は嬉しそうにうっそりと笑った。
……気味が悪い。
鳥肌がたって、寒気がする。
人は皆、死ぬ時にそうなってしまうものなのか……。
いや、まだだ。
諦めたりはしない。
私は、キッと殺人鬼を睨んだ。
一瞬……何かを考える素振りを見せた殺人鬼だったが、すぐに元の雰囲気を纏い、笑いながら言った。
「ヒャハハハッ‼
今度は1秒も待ってやらねぇよ……‼」
『…レイチェル、走れる?
走れるなら、全力で走って……‼』
「…え……?」
殺人鬼の言葉に、私は歯を食いしばりながら更にきつく睨みつけながらレイチェルにそっと言った。
レイチェルは、かなり動揺してしまっている……。
私は、レイチェルを急かす意味も込めて、もう一度叫んだ。
『レイっ‼
エレベーターのところまで走って……っ‼』
私は少し強めにレイチェルの背を押した。
この時…、無意識にレイチェルのことを"レイ"と呼んでしまっていることに、私は気づく余裕がなかった。
レイチェルはよろめきながらも足を踏み出し、なんとか転ばないようにして不思議そうに…そして不安げに……私を振り返った。