The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第4章 Serial killer ー殺人鬼ー
「…"EV[エレベーター]通路管理室"って書かれてある。
…もしかしたら、ここから出られるのかも……。」
『そっか。
…小鳥は、そんなものを飲み込んでしまっていたんだね…。』
「…そうみたい。
じゃあ、行こう…悠。」
『…あ、ちょっと待って。』
私は、持っていたタオルでレイチェルの汚れてしまった手を拭った。
「…ありがとう。」
少し驚いたような顔をして、レイチェルは静かに言った。
『んーん。気にしないで。
……よし、綺麗になった。』
元通りに白くて綺麗になった指に満足した私は、1つ頷いて立ち上がった。
それに続いてレイチェルも立ち上がる。
「…今度こそ、行こう。
悠……。」
『うん。
行こっか。』
私達は、小鳥の眠るその場所を後にしたのだった。
そこを出る直前…。
私は小鳥を埋めたその場所をそっと振り返った。
…こんな場所で終わってしまう命は、
なんとも儚く…物悲しく……。
そして、哀れな気がしてならなかった……。