The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第24章 Who is me…? -私は…-
「んもう!!
そっちがその気なら、アタシだって…!!」
『っ…!!』
「悠…!!」
「危ねぇ…!!」
赤い死神が舞い降りて、
私のすぐ目の前でチェンソーを振り上げる。
今まで困惑して、声を一切発さなかった
レイとザックが叫ぶ。
「…お嬢様!!」
「おぉ〜っと、行かせないよ!
セバスちゃん。
…っていうか、せんぱぁ〜い。
人間は殺さないで下さいよ〜!?
俺、残業とかしない主義なんで、始末書とかマジ勘弁っす。」
セバスチャンも、
軽めの死神に足止めを食らっているらしい。
素早く振り下ろされるはずのチェンソーが、
やけに…ゆっくりに見えた……。
- ギンッ!! -
- ギャルルルルッ!!-
「な、なんで……!?」
…セバスチャンからさっき受け取った物で、
チェンソーの大きな刃を受け止める。
すると、その赤い死神は
驚いたように目を見開いて言う。
そんな彼の腹部を蹴って、突き飛ばす。
「っ…!!
な、何すんのよ!!このメスっ!!」
「ヒュ〜♪
可愛い顔して、やることえげつないねぇ〜♪」
2人の死神らしからぬ言葉に困惑した私は、
チラリとセバスチャンを見やる。
…彼は肩を竦めて苦笑した。
「……辞めなさい。
グレル=サトクリフ…。」
そこへ響いたのは、
静かで、かつ厳かな声だった。