The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第23章 Escape -脱出-
長い階段をザックとレイが協力して
瓦礫を破壊しながら進んでいく…____
『……外、外は、まだ…?』
息を切らして、そうぼやく。
私達は踊り場のような場所に飛び出して、
つかの間の休憩を取る。
……正直、身体がもう限界だ……。
4人が全員階段を上りきった、すぐその後に____
- ガラッ… -
- ガラララッ!! -
ビルの階段が崩壊していく…。
崩壊したその後も、じわじわと火の手が迫ってきている。
「…危なかったな。」
「…ギリギリだった。」
『……セバスチャン。
全て、思い出せたよ。
"全て"が終わったその時は、
君の手で、幕引きを……。』
ザックとレイが何かを話しているようだったが、
そんなことが、もう…私の耳には入ってはこない。
「……ご命令とあらば。」
セバスチャンは私の足元に跪き、
ぐちゃぐちゃで、訳の分からない感情のまま
泣きながら笑う私にそう誓った。
「……お嬢様、記憶がお戻りでしたらこちらを。
貴女からお預かりしていたものです。」
セバスチャンが
そう続けて私に封をされたままの物を渡す。
私は1つ頷いてそれを受け取り、小脇に抱えた。
「……ここは、もうじき崩れる。
早く、外へ出なさい。」
目の前に聳える壁の上の方から、
何やら聞き覚えのある声が降ってきた。
「神父…!?」
「……。」
ザックとレイは困惑している。
私はただ静かに、神父様を見上げた。
『……さよなら。』
「……ああ。」
その言葉を最後に、
私達4人は重い扉をこじ開けて外へ出た。
満天の星空を見上げ目を細める。
『……やっと、外…?』