The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第23章 Escape -脱出-
『……確かに、熱いし、痛いさ。
……でも、
私はここでザックやレイを
死なせたくない。
私自身も、ここで終わるつもりもない。』
はっきりと言い切ると、
ザックは驚いたように絶句した。
「…この程度でしたら、
すぐに治療をすれば、痕も残りませんよ。」
ヒリヒリと痛む私の手を見ながら、
セバスチャンが冷静に言った,
ここから、"生きて出ること"が、最優先なのだ。
なりふり構ってはいられない。
…すると、レイが決意したように言ってくれた。
「…ザック…。
聞いて。
ザックが壊せそうな所は、
私がちゃんと言うから…。
私が必ず、道を見つけるから…!」
- チリリン…… -
また、どこか遠くで…
鈴の、音が……____
「…大丈夫、出られるよ…!」
レイの声に、ザックが応えるように、
彼の目つきが鋭く変貌した。
「……退け。
やってやるよ……。」
- ザシュ!! -
レイが言った通り、
そこは簡単に壊すことができた。
「…レイ、お前すごいな。」
グッと鎌を握りしめ直したザックが
ボソリと呟く。
そしてすぐに…____
「- …ヒャハハハハハ!!!! -
……全部、ぶっ壊してやるよ!!」
レイの助言で自信がついたのか。
今ではどこか懐かしい、
ザックの高笑いが聞こえた。
= 地下フロアは、残り5分で完全消滅します____ =
そのアナウンスを掻き消すような、
ザックの高笑いが聞こえる。