The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第23章 Escape -脱出-
『……瓦礫で、身動きが取れないな…。』
前も後ろも、
瓦礫と炎で道を塞がれてしまった。
……セバスチャンを、
"使う"…か??
そう思ったその時、
レイの力強い声が響いた。
「ザック…!!
ここを壊して!!」
炎の奥に、壊せそうな場所を見つけたらしいレイ。
煙が目にしみて、少し痛い。
噎せ返って、上手く息ができない。
私は服の袖で、口元を軽く覆った。
「…………わりぃ、レイ。
__足が、竦んで動かねぇ。」
……ザックは炎が怖いのだろうか。
…まぁ、上半身にあれだけの
大きな酷い火傷を負っているのだ。
何があったかまではよく知らないが、
怖いのは仕方の無いことだ。
私はゆっくりと2人の方に歩み寄る。
……レイが頭脳、ザックが力なら……。
『私が、その炎をどうにかする。
2人とも、下がっていて…。』
炎は勢いを増すばかり。
ジリジリと迫り来る熱を前にして、
「おい、悠!?」
「悠…!!」
ザックやレイの制止も聞かずに、
私はその炎の元になっているものを
力いっぱい蹴り上げ、投げ捨てる。
『…今だ!!
皆、早く…!!』
私は2人を押し出したセバスチャンに次いで、
最後にその場を抜けた。
『…はは。
やってみるもんだねぇ…。』
「……お前!!
何やってんだ、バカっ!!」
燃え盛る炎は、止まることを知らない____
燃え盛る緋の中で、私は叫んだザックを見つめた。