The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第23章 Escape -脱出-
「…スイッチは確か、
地下のオルゴール辺りにあったはず……。」
『じゃあ、キッチンの向こうだね。』
レイの言葉に、ようやく出ることが出来る。
と、嬉しくなった私は子供のようにはしゃいでしまい、
先にリビングルームへと急いだ。
……次の瞬間____
「悠っ!?」
「待って…!」
前を見ていなかった私は、
ザックやレイが叫ぶも、止まることができずに
そのまま何かにぶつかってしまった。
『…っ!?
…いたたぁ……。』
と、反射でそう言うものの、あまり強い衝撃はなく
不思議に思った私は顔を上げて、ぶつかったものを見上げた。
「……全く。
お嬢様はいつまで経っても、"お嬢様"ですねぇ……。」
そこには、
私の腰を抱き止める真っ黒い執事の姿。
『せ、セバスチャン…!?!?』
不意に見上げたもので、あまりに顔が近かった。
整った顔で間近に見つめられ、
私の顔に一気に熱が集中する。
「……おい、離れろよ、しつじ。」
ザックが何故か不機嫌そうに言って、
私の腕を掴んで引き剥がした。
『……い、行こう。』
火照る顔を誤魔化すように
俯きながら私は歩を進めた。