The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第22章 Way out -出口-
『誰かが上から降りてきたことはないの?』
「…そんなはずがない。
……だって、ザックでもなきゃ、
すぐにトラップで死ぬから、気づく。」
『……はは。
だろうね……。』
レイの言葉に、
未だ尚、苛立った様子で辺りをウロウロと
歩き回っているザックを
チラリと横目で見つつ、私は苦笑して言うのだった。
「…じゃあ、
誰も下に降りてこなかったんだな。
……やっぱ、わけわけわかんねぇ!!」
「誰も、降りてこない……?
それは……_____」
そう。
_____考えられる可能性は、3つ。
1,ここが既に地上である。
2,ダニー先生が密かに出入口を作った。
3,ここより地下に出入口がある。
私がそう考えるのとほぼ同時に、
レイが静かに声を上げた。
「……いや、それはおかしい。
だって、ダニー先生は外に出入りしてたんだもの……。
この部屋のトラップや家具は、
先生が外で買ってきて用意したものだから……。」
「……あ?
どーいうことだよ。」
「ちょっと待って。
考えるから。」
待てなくなったのか、ザックが声を上げた。
それをレイが静かに制した。