The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第22章 Way out -出口-
「……と、その前に……____」
ザックがスタスタと歩を進めて、
倒れたまま動かないダニー先生を見る。
…一体何を____
-ゲシゲシゲシッ!!-
『なっ!?』
「…!?」
ザックは素早く何回も、
ダニー先生の亡骸を蹴った。
『…ざ、ザック……。』
「…よし、動かねぇな!」
「…………。
…………みたい。」
絶句する私をよそに、
ザックは満足気に言い、
レイも1つ頷いてそう言った。
……2人とも全く抵抗が無い上に、
とても冷静だ。
動揺する私を置き去りにして、
レイとザックは歩いて行く。
私は慌てて2人の後を追いかけた……。
「……あ?
ここ、壁じゃねぇのか?」
2人に追いつくと、
壁に手を当てたレイに、ザックが訊ねるところだった。
「……間違ってなきゃ、ここは玄関だよ。
……ザック、強く押してみて。」
「おー。」
……ザックは返答しながら、何故か鎌を構えた。
-ザシュッ!!-
案の定__
ザックは壁を鎌で斬り裂いた。
「…やっぱり開いた。
ザック、別に斬らなくても良かったんだよ。」
「うっせ!
開いたから良いんだよ。」
レイの正論に、ザックは小学生の子供のような返答をした。
「……そっか。
開いたから良いか。」
『えぇ…?
そこ、納得しちゃうの……?』
私は思わず声を上げた。
するとこちらをジト…っと睨みつけたザックが、
ズンズンとこちらへ歩いてくる。
「…お前はいちいち、うるせーんだよ。」
『わ…!?』
ザックに髪をぐしゃぐしゃにされた。
急いで髪を整えて、レイの後に続いたザックの背中を、
私は追いかけるのだった……。