The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第21章 Faith -信仰-
「…でも、私は____
おかしい……穢れている……。」
「……そんなこと、誰に向かって言ってんだ?」
少し離れた位置からでもわかるくらいに
ザックは口角を吊り上げて笑う。
……そう、か。
レイは、"殺人鬼"としてのレイチェル=ガードナーではなく、
"生贄"のレイチェル=ガードナーを
殺して欲しかったのか……。
心の中でそんなことを考えていると、
ザックが更にこう続ける。
「……俺は、
____殺人鬼だ。
人を殺すのが好きで、何人も殺してきた。」
「…………。」
ザックの言葉に、レイは目を見開いて絶句する。
そんなレイを見据えて、ザックは更に続ける。
「だけどなぁ____
俺は、お前やダニーみたいに
グダグダ悩んで、逃げ回ったりしねぇ。
親だか、神だか、知らねぇが……。
んなもんの所為にして、動くなんて……
冗談じゃねぇ!!
俺は__
自分が望むもんを、自分で決めて動いてんだ……!
俺が俺なら、お前もお前だろ?
違うのかよ!?」
「……私は、私……?」
『……そうだよ、レイ。』
「っ!?」
突然声を出した私を、驚いた顔をして……
首から上だけを動かして見つめるレイ。
『……よく聞いて、レイ。
神様は、罪を懺悔する人許すために存在しているんだ。
懺悔する人間の、罪という毒を…
代わりに飲み干すためにいるんだ。
罪を犯しても良い…
悔い改めることができるのなら。
だけど、君にも神様がいることを……
忘れないで……____』
「っ……!!」
-チリン……-