The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第21章 Faith -信仰-
「…レイ。
お前がお前なら、
自分のことは自分で決めろ!」
「……あ。
……あぁ……。」
「…なぁ、レイ。
目の前の俺は誰だ…?」
「____……。」
-チリン-
-チリン-
-チリリン…-
何故だろう。
…また、遠くで、
鈴の音が聞こえた気がした。
「…ザック__」
「…あそこに、ボロボロな格好で突っ立ってる、
お人好しは、誰だ?」
「……悠__」
「……そうだ。
神なんかじゃ、ねぇだろ……?」
「……うん……。」
ザックの問いかけに、
落ち着きを取り戻しつつあるらしいレイが、
小さく頷いて言う。
「ザックも悠も、
最初から、ザックと悠だった……。」
「……なぁ。
お前は狂ってんのに、真面目すぎるんだよ。」
口角を上げたまま、揶揄うように…
苦笑混じりにザックが言う。
そして再び口を開いた。
「__おい、レイ。
目の前にいるのは、俺だ。
それがわかるんだったら__
レイ!俺を望め。
死にたきゃ…俺に殺されると誓え!!
お前自身に……。
そして____この俺に誓え!」
再び鎌を突きつけたザックに、
レイは何か言おうと、口を開閉させる。
今にも泣きじゃくりそうな彼女は、
静かに声を上げた。
「__……。
____…………うん。
____…………うん!
…誓う……!
____ザックに誓う!」
真っ青な瞳に小さな光が宿る。
今にも零れてしまいそうな、大粒の涙を湛えて……
レイは言った。
ザックも、満足そうに笑って答える。
「あぁ。
俺も、お前に誓ってやるよ……!」