The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第21章 Faith -信仰-
「なんでだよ!!
お前が望んだことが叶うんだ!!」
「__私を殺さないで!
今のままの……"私"を殺さないで!!」
「あぁ!?」
レイの矛盾に、ザックが戸惑いながらも声を上げる。
「だって、もう……
__"私の神様"じゃない。
"私の神様"は……もう、私なんか要らない!
"私の神様"は死んじゃったんだ!」
レイは暗い瞳をして、そう泣き叫んだ。
私は、痛み…悲鳴をあげる身体を叱咤して、
ゆっくりと立ち上がった。
ザックが一瞬だけ私を見たが、
すぐに視線をレイに戻して、言葉を紡いでいく。
「……あぁ、そうだ。
お前の神様は、殺してやった。
__俺が、殺してやった!!」
「……あぁ……!!」
ザックのそんな言葉に、レイが絶望した声を上げる。
ザックが小さく息を吸うのが、見て取れた。
「____でもな、俺は死んでねぇ。
……悠だって、元気じゃねぇが、生きてる。
わかるだろ……?
お前を殺してやるって、言ったのは誰だ!?」
「私の、神様……!!」
「____違うっ!!」
レイの言葉を、再びザックが否定する。
-ザシュッ……-
ザックが、レイの肩口付近の床に、
大きな鎌を突き立てる。
「……俺だ。
____俺なんだよ……。
他の誰でもねぇ、
お前の神様でもねぇ……。
俺が、お前を殺すんだ!」
……どこか遠くで、鈴の音が鳴った気がした。