The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第20章 The truth -真実-
「俺に、嘘を吐いたのか……。」
「うん、ザック…____
ザック____
ねぇ。…まだ、私の神様でいてくれる…?」
……。
"私の神様"という単語が妙に引っかかる。
……レイは、どうしてそうも、
"神様"に、個室するのだろうか。
「……。
…………。
……お前は、
自分のことを、俺頼みにする気かよ……。」
長い沈黙の後、ザックは少しレイの方へと歩み寄り、
そっとそう言った。
『…ザック……。』
「…悠。
お前は、"俺"は、"俺"だって……
そう言ってくれた。
レイ…。だからよぉ……。
……俺は……____
____俺は、お前の神様なんかじゃねぇよ。」
「っ……!!」
私の呼び掛けに応じるように、チラリ…と、私を見たザックは、
レイにそう断言した。
レイは微かに震え、俯いている。
…それは、何かを堪えているようにも見受けられる。
「素晴らしい、その通り。
ご名答…!
さぁ、レイチェル。
これで君はいつもの君だ!
望みは僕に言うんだ。
なんでも用意してあげる!」
ダニー先生は拳銃を下ろして、大きく笑いながら言う。
そして、ザックに向かってこう言った。
「…そして、ザック。
君はもう行ってもいい。
レイチェルが欲しかった"神様"はもういないし、
レイチェルと僕が欲しいのは悠……彼女だけだ。」