The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第20章 The truth -真実-
『っ……!!!!』
…わかっていた、はずだった……。
私はそれを受け入れられなくて、
逃げようとしていた……。
拭っても拭っても…涙が溢れて、止まりそうにない。
そんな私にダニー先生がそっと声をかけた。
「……あぁ、そうか。
あの老女は、悠…君にも縁のある人だったんだね。」
私は聖書に縋りついて泣いた。
…私の恩人の…死を悲しんだ……。
ダニー先生は更に淡々とした口調でこう話す。
「フロアの人間として、
使い物にならない君を配置することを、
流石に神父様は許してはくれなかったよ。
…ねぇ、レイチェル。
冷静な君が、どうしてあんなにも、心を乱したの…?」
そこまで言ったダニー先生は、
レイの返答を静かに待った。
レイは静かに、
ぽつり…ぽつり……と、静かに語り出した。
「……私は、"私の"理想のものが欲しかった。
…でないと、"許せなかった"。
……でも、聖書には書いていた……。
本当に____
"許されない"のは、私だったの。」
「あはは、だから!
普通の、清い……穢れのない人間の"フリ"をして、
死のうとしたんだね!」
レイの答えに、ダニー先生は笑いだした。
そしてそのまま、私達…
いや、ザックに向けてこう言った。
「…それが、ザック……。
お前なら、レイチェルはできると思ったんだ!
馬鹿のくせに、神に誓って……。
あまつさえ、彼女の神様になったお前なら!」
ダニー先生の大きく不快な笑い声は、唐突に止まった。
「__でも、レイチェル。
君だって、もう……気がついているんだろう?
いくら聖書を読んでも、
己の間違いに気がついても……。
本心は変わらないことを……!!」
落ち着いたようじ見えたダニー先生は、
最後の一言で、狂気じみた笑みを浮かべた。