• テキストサイズ

The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第20章 The truth -真実-







『……ザックは、ザックだもの。
…ねぇ、レイ…そうでしょう?

レイだって、レイでしかないでしょう……?』

「……レイチェルは、
自分の"理想の家族"を求めて、親を殺した女の子だ。

…僕は、そんな女の子のカウンセラーだった。」


私の声は、レイには届かなかったらしい。
レイは青白い顔をしたまま、俯いている。
そんなレイをよそに、ダニー先生が1人でに語り出した。


「そして彼女を、僕が頼んで……
このフロアの住人にした。

……まぁ、神父様はあまり気が進まなかったようだけど…
僕は彼女なら大丈夫だと思った。

そして何より……

彼女の瞳を____

彼女の永遠の孤独を、
どうしても守ってあげたかったんだ……。」


興奮気味に、まくし立てるように言うダニー先生。
そこで言葉を切って、一息つく。
それから更に、こうも続けた。


「……でも、彼女の心は壊れてしまった。
知らない間に、この部屋に置かれた聖書の1冊で……ね。」


ダニー先生は、そう言って、部屋の中央に置かれた
1冊の本へと視線を移した。


……この、本は…____
この聖書は、確か……____


ノイズがかったような何かが……
晴れていく……。


『……シスター…………。』


私の頬を、一筋の涙が伝った……。
私は小さく呟いて、涙を拭いレイの方へと視線を戻す。


『……レイ、答えて欲しい。

…この聖書の持ち主である老女は……。
彼女は、今どこに?
…生きて、いるんでしょう……?』


私の縋るような視線と声に、
少し戸惑ったような様子を見せたレイは、
暗い顔で、ゆっくりと左右に振った……。




/ 373ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp