The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第20章 The truth -真実-
「あぁ、そんなに暗い目をして……。
…今にも、溺れそうだ。」
「どういうことなんだよ!!」
意味が理解できなかったのか、ザックが再び声を荒らげた。
「…ここに来て、
お前のフロアで……。
……俺はお前に、殺されんのか?」
ザックの声は困惑して動揺しているようにも、
怒りで震えているようにも受け取れる。
「__違う。
違うの…それは違う。」
「ねぇ、レイチェル。
もう嘘はいけないよ。
わかってくれよ
…僕、君の頭を撃ち抜きたくない。」
「っ……!!」
ダニー先生は否定しようとするレイに、
静かに言って、銃を突きつけた。
……まだ子供のあの子に、
なんて酷いことを……。
「おい!」
「うるさい、黙れ!
言ったろう?僕だって必死なんだよ!
……ここで彼女に、わからせてあげないと!」
声を上げたザックに、
声を重ねる様にしてダニー先生が叫んだ。
その怒気を孕んだ声は、
確かに、余裕がなさそうに聞こえた…。
ダニー先生は口角を吊り上げて
歪な笑みを浮かべながら言う。
「それに、お前だって知りたいだろう!
化け物風情のくせをして!」
『ザックは化け物なんかじゃないっ!』
「っ!?」
私はダニー先生の言葉に声を荒らげた。
私の隣でザックが驚いたように小さく声を洩らした。