The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
Side of 悠
-ザザザザザーー!!-
-…ガシャン!!-
『っ!?
…ざ、ザック……。』
テレビに砂嵐が走ったかと思ったその時……。
テレビの画面がひび割れた。
「……きっもち悪ぃ……。」
ザックを見上げると、
ザックは立ち上がって鎌を構えていた。
画面に食入り過ぎて、
隣に座っていたはずの彼が立ち上がっていることにすら気づかなかった。
もう1度テレビを見つめるも、テレビは大きく大破して、
破片が散り散りに散らばっている。
……完全に壊れてしまったようだ。
私は小さく溜息を吐いた。
ザックは大破したテレビを見下ろしたまま
小さく呟く。
「こんなもん見せて、なんだってんだよ。
……これで、レイのことを知ったってことになんのか?」
『拳銃と、針と糸……____
それに、あの部屋の縫い合わされた人形……。
__レイチェル=ガードナー
__"Ray"……。
…たぶん、そうじゃないかな。』
……これで、確信した。
「……ここは、
あいつのフロアってことか……。」
『このフロアの殺人鬼は…
Ray……、貴女なのね…………。』
涙が出そうになる。
私はそっと呟いた。
「……泣くなよ。
泣いたって、仕方ねぇんだ。
…それに、お前の泣き顔なんか、見たくねぇよ……。」
『……うん。』
私の頭をそっと撫でたザックに、
私はそう答える。
「……これで、
あの部屋に入れなかったら、
目玉野郎、マジでふざけんなよ……。」
ザックは低く唸るように言う。
…私達はレイの部屋を出て、
レイが眠るリビングへと向かったのだった……。