The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
「…………。」
「……ねぇ、君は____
もっと、"自分のモノ"が、欲しいかい?」
「…………?」
ダニー先生の言葉の意味が理解できず、首を傾げた。
すると、ダニー先生はすっと立ち上がって、
私の方へ歩み寄って来た。
私のすぐ傍まで……
私の左側にまで歩いてきて、膝を付いた。
そして、微笑んで私にこう言った。
「……レイチェル。
僕の母さんは、自殺したんだ。」
そして、笑みを深めて更にこう続けた。
「僕の目が……
母さんを殺したんだよ。」
そして、私を…
いや、私の瞳を見つめながらこう続ける。
「……君の瞳は、
最後に見た、母さんの瞳にそっくりなんだ。
……暗くて、静かで…。
何よりも美しいあの瞳に……。」
そして、少しの間の沈黙。
それから息を吐いたダニー先生は、静かにこう言った。
「……僕は、君の目が好きだ。
僕は君の瞳に、
その暗い輝きが永遠になることを…
望んでいる。
…君の望みを、なんでも…
叶えてあげられるくらいには…………ね。」