The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第20章 The truth -真実-
「……開いてんな。」
『……みたいだね。』
リビングのドアをそっと押すと、
今回は簡単にドアが開いた。
中へ入ると、
レイは私達がここを出る前と同様に、
血だらけのソファーで眠っていた。
私達は、レイの方へと歩を進めた。
「……あいつ、この本見てやがったな……。
……なんだってんだよ…。
俺は読めねぇんだよ。」
ザックが不満そうにブツブツと独り言を言っている。
そんな彼の背中を一瞬だけチラリと見て、
私はレイの隣に膝をついた。
ザックが私達の方へ、歩み寄ってくる気配がした。
「…おい、起きろ!
十分寝ただろ!
起きろ!」
『ちょ、ザック…!!』
乱雑にレイを揺さぶって起こそうとするザック。
そんな彼を止めようとしたその時……____
「…………。
……ザック、悠…?」
レイが小さく声を上げた。
「……。
__ごめんなさい。」
レイは目覚めて早々、
申し訳なさそうに私達に謝罪した。
「……私、足でまといにならないようにって
思っていたのに。」
「…うるせぇ。
んなこたぁ、どーでもいいんだよ。」
「…………?」
「いいか……。
レイ、答えろよ…?」
2人のやり取り黙って聞く。
私はグッと唇を噛み締めた。
……次に発せられるザックの言葉を、
私は察してしまっていたから……。
ザックは、そっと言葉を紡ぐ。
「____このフロアに来た人間は、
お前が殺すのか?」
「っ……!!」
レイの驚いたような、声にならなかった
呼吸のような音が聞こえる。
目を見開いたレイは、微かに震えていた……。