The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
…小さく言ってから、私はそっと拳銃を懐から取り出して、
銃口をお父さんへと向ける。
お父さんは驚いていたけど、
それもほんの一瞬で、
私が"子供"だと思って、まだ油断している。
「……私の…
私の…"理想の家族"になって……。」
-バァン!-
-バァン!-
-バン、バァン!!-
銃弾浴びたお父さんの……
あの時のすごく驚いた顔……。
……忘れられない。
-ドサッ…-
「大丈夫…。
私が、"直して"あげる。」
私は、
ナイフを持ったまま血だらけで仰向けに倒れたお父さんを
じっと見下ろして、静かにそっとそう言った。
……大好きなお父さんと、お母さんに
してあげるね。
……その後、
私はお父さんとお母さんの身体を縫って…
ひっつけてあげた。
仲良く、ピッタリ、ひっつけた。
そして、お父さんの暴力を振るう悪い腕は、
ぬいぐるみの腕と取り替えて…
お母さんの口はにっこり笑うみたいに、
唇に糸を通してあげたの……。
……それが、理想の……
お父さんとお母さんだった……。