The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第19章 Ray -レイ-
「……大丈夫。
怖くないよ…。
何にも、心配いらないよ。
ねぇ、だって…。
こうするしかないものね…。」
私はそっと…
あやす様に子犬に話しかける。
-ガチャ-
……お父さんが、私の部屋に入ってきた。
「…親父を、イカれていると思うか?レイ。
でもな、レイ。お前も一緒だ。
部屋に逃げ込んで、
そんなものに話しかけてるお前は…
どうかしてる。
…その箱を開けてみろ。ん?」
「…………。」
私は黙ったまま、お父さんをじっと見つめた。
そして、そっと箱を開ける。
「…あぁ、お前もやっぱりイカれてる。
なんだ、その犬は!?
ツギハギだらけの死体だ!」
お父さんは、1歩、また1歩……と、
まるで瀕死の獲物を追い詰めるかのように
ゆっくりと私の方に、歩を進める。
「……どうせその犬____
お前が殺したんだろう。」
「…………。」
「引き裂いた腹を縫って、口を縫って…
心地良かったか…!?」
「……違う。
この子は、"私のモノ"になっただけ。
理想の、私の子犬。
__ねぇ、お父さん。」