The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
「…出来た。
もう大丈夫だよ。
…でも、心配だから連れていくね。
…良いかな、悠…。」
『え。
あ、う、うん。全く構わないよ。』
レイチェルが怪我をした小鳥を抱き抱えて、私に訊ねた。
もちろん、私も怪我をしたその小さな小鳥を放っておけるわけもなく、それを承諾した…。
「…ありがとう。
…それじゃあ、もう行こう…?」
『…うん。そうだね……。』
レイチェルが静かに私を外へと促す。
私は戸惑いつつもそう返した。
…その部屋から出ようとしたその時……。
=カラン……=
『っ…!?』
隣の部屋から、小さな音がした……。
『…隣の通路から…。
レイチェル、大丈夫?』
不審に思った私は、独り言を呟いてレイチェルにそう訊ねた。
「小鳥が怯えてる…。
でも、私は大丈夫…。」
『…そう。』
…レイチェルの少し狂気的な、怖い部分が垣間見えて…。
私の声は小さく震えていた…。