The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
『…小鳥、かな……。
何故こんな所に?
迷い込んでしまったのかな…。』
「食べ物与えたら、寄ってくるかな…?」
『…どうだろう。
さっきのスナック菓子、砕いてあげてみる…?』
「…うん。」
レイチェルは、ごそごそと鞄からスナック菓子を取り出し、その袋を開けた。
「…おいで。」
『怖くないから、降りておいで〜…。』
レイチェルが小さく砕いてその小さく白い掌に載せたスナック菓子を見るや否や、小鳥は穴から出てきた…。
飛んでくるかと思ったが、出てきた小鳥は出てきてすぐに、墜落してしまった…。
小鳥はどうやら、怪我をしているようだ。
ーチーチー…ー
小鳥はどこか悲しげに鳴き続けている。
「…これ、食べられる?」
レイチェルが静かに小鳥に近づいて、そっとそのスナック菓子を小鳥に差し出した。
ーチーチー‼ー
小鳥は一声大きく鳴いて、一所懸命、そのスナック菓子をつついては頬張っている。
…その白く小さな小鳥の片翼は、赤黒く汚れて、不自然に曲がっていた…。
『…この小鳥の傷、だいぶ深いな…。』
酷いな…。
誰が、こんなことを……。
「…良かった。全部食べたみたい。
…でも、食べただけじゃ良くならないよね……。」
『…そうだね。』
「…‼」
私がそう静かに答えると、レイチェルは何を思いついたのか…何かを探して鞄をごそごそとあさっている……。