The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
『っ…。
はぁ……。
鉄の臭いが身体についちゃいそうだよ…。』
息を止めて殺人現場みたいなあの場所を通り、元の場所へと出た私は、ゆっくりと深く息を吐いた……。
ゆっくりと歩いて私達は、あの血だらけの裏路地へと足を踏み入れた…。
「………………。」
レイチェルが天井の方をじっと見つめている。
『…レイチェル、何か見つけた…?』
「…あれ……。」
背後からレイチェルに声をかけると、彼女はゆっくりと視線の先を人差し指で指し示して、静かに言う。
彼女の、白くて細い指先が指し示す天井には、大きめの穴が空いていて、その穴の中で小さな真っ白い小鳥が鳴いている。
どことなく不安げに聞こえるその鳴き声は、小さくてか細い。
ーチーチー…ー