The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第18章 Cooperation -協力-
「……ああ。
その前にザック。
1つだけ聞かせてくれ。」
神父の声に歩きだそうと1歩だけ歩を進めたザックは、
そこで一旦動きを止めて、
首から上だけで神父を振り返る。
「__お前は、
レイチェル=ガードナーに"神"と言われ、
どう思った?」
神父のそんな問いかけに、
ザックは俯いて、悩むように眉根を寄せた。
……そして、静かにこう呟いた。
「……どいつも、こいつも……。
……__気持ち悪ぃよ。」
「……そうか。」
ザックの返答に、
神父は納得したように短く答えた。
そして、再び歩き出したザックは、
何を思ったのか、2、3歩歩いて、
また立ち止まってしまった。
「……なぁ。」
何故か、その問いかけは
自然と、私に向けられたものではないとわかった。
それほど大きくはなかったはずのザックの声は、
静寂の中で、よく響いた。
「……どうした?」
「……難しいことばっかしゃべんなよ。
俺からすれば、まどろっこしくてよぉ……。
お前ら全員、まとめて馬鹿にしか見えねぇ!」
「……そうか。」
ザックの言葉に、
神父がまるで、子を見守る親のように、
ふっと笑ってはそう言った。
そして、再び歩きだそうとしたザックの背中に、
私は声をかけた。
『……ねぇ、ザック。
この後、どうしたら良いのか、わかってるの?』
「…………あ。」
私の問いかけに、
ザックが呆けた声を上げたのは
言うまでもない……。