The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
『…グレイ、神父……。』
深淵の様な闇に、既に呑まれてしまいそうな私を
ゆっくりとした動作で覗き込んだその人物に、
驚きと困惑の混じり合った声で
名前を呼んだ。
「…ほら、悠……
手を貸しなさい。
今、ザックと一緒にお前を引き上げてあげよう。」
「……俺一人で充分だっ!!」
グレイ神父の言葉を、半ば強引に遮って、
ザックは不機嫌そうに声を荒らげる。
…と、次の瞬間……____
『わっ…!?』
私はザックによって、
一気に上に引き上げられた。
『……ありがと、ザック……。』
「……おー。」
お礼を言うと、ザックは少し嬉しそうに、
照れくさそうにはにかみつつ小さく答えた。
それからグレイ神父を睨みつける。
ー殺人鬼ー
……かつて住人だったザックが、
ビルの管理人であった彼に何を思うのか……
私にはわからない。
……ただ、
彼の背に、ただならぬ"警戒"の気配だけを感じた……。