The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
「っ…!?
悠…っ!!」
私が完全に"闇"に呑まれる、すんでのところで、
ザックが私の手首を掴んだ。
『……ザック、怪我してない??』
「……心臓止まるかと思った……。
って、そうじゃなくてなっ!!
お前はもっと自分の心配しろよ!!
今危なかったのは、お前だろうがっ!!!!」
ザックを見上げて、苦笑しつつ訊ねると、
ザックは心底疲れた様な声音でそう言ってから
声を荒らげた。
『ごめん、ごめん。』
彼のパーカーのフードの隙間から、
彼の漆黒の、少し伸びた毛髪が零れる。
揺れた彼の黒髪は、
重力に負けて、私の方に伸びていた。
このままでは、
彼自身が闇に呑まれて、
落ちてしまいそうで……
彼が彼でなくなってしまいそうで……
怖くなった……____
ザックの言葉に苦笑しつつ謝罪しながら
そんなことを考えていた矢先に、
私は、ザックの背後にふと
人影が揺れたのを感じて叫んだ。
『ザック……!!
後ろ……っ!!』
「っ!?」
「……そんなに怯えずとも、
私はお前達のことを殺したりはせんよ。」
そのままの体制で、
ザックがすぐさま振り返ると、
その人物は私達に話しかけてきた。
……その声は、
聞き覚えのある声だった……。