The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第18章 Cooperation -協力-
『…ところでグレイ神父。
貴方は、何故ここに?』
「……なに、そう簡単に終わっては、
少しつまらないと思ったのでな……。」
神父は薄く笑みを浮かべながらそう言って、
更にこうも続けた。
「……私の忠告も聞かず、
ナイフを突きつけたあの少女____
レイチェル=ガードナーは
今、ダニーと共にいるのだろう?」
「っ……!!」
神父の言葉に、
ザックが私の隣で息を呑む気配を感じた。
私も、ぐっと手を握りしめて唇を噛む。
「……そして今、
ザックと悠は、
あの少女を取り戻したくて
動いているのではないか?」
「……それが、どうした。
なんの用があんだよ。」
神父の問いかけに、
ザックは相手に、その大きな鎌を突き付けて
戦闘態勢を崩さぬようにしながら、
突き放すように言う。
「……ふむ。
ザック、お前もこのようなことで
感情を使うようになったのだな。」
「…何がおかしいんだよ。
すかして笑ってんじゃねぇよ!」
小さく笑う神父とは対照的に、
ザックがイラだったように声を荒らげる。
『ザック……!』
私は思わず、
ザックの腕を引いた。
彼は少しだけ私を見て、不機嫌そうに舌打ちをした後、
私の手を振り払った。