• テキストサイズ

The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第3章 Floor B6 ー地下6階ー





…すると、今度は先程のキッチンの食料倉庫のような場所に出た。

……その部屋には、特に変わったものも、めぼしいものも見当たらなかった。

あるのは、消費期限の切れてしまった缶詰めや調味料や食品。
古めかしい食器等で、気になるものもなかった。

次の部屋へ行ってみようかと思ったその時……。


「…悠……。」

『…何?』


レイチェルに呼び止められて、私は歩を止めた。


『…どうしたの?』


何も返答のないレイチェルを、私はじっと見つめた。
レイチェルは、大きな箱を開いて、中をじっと見つめている。


…もしかして、また変なものでも見つけちゃったとか……?


私はレイチェルの方へと駆け寄って、その箱の中身を覗いてみる。


『…ん?』


……だが、その古ぼけた大きな木箱には、未開封のスナック菓子の袋が1つだけ…まるで仲間はずれにでもされてしまったかのように、居心地悪そうにぽつん…と、取り残されていた……。


『…レイチェル。お腹、すいているの……?』


私の問いに、レイチェルは軽く…そして小さく控えめに、首を左右にゆっくりと振った。


『んじゃあ、置いていく…?』

「…ううん。
 持っていく……。」

『…非常食ってわけか……。』

「…この大きな箱、私でも入りそうなのに…。
 もう、何も入ってないね。」


私が小さく笑って言った。
レイチェルは独り言のように呟く。

それから、レイチェルは大切そうにその大きめのスナック菓子を、自分の鞄に仕舞いこんだ。


/ 373ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp