The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第17章 Confirmation ー確認ー
その部屋は、バスルームだった。
広めのその部屋は、ユニットバスのように
浴槽とトイレが1つの空間にあり、
それらは少し迫り出した壁で、
半分に仕切られていた……。
『……本当に、1つの家みたい…。
でも、生活感は全くないね。』
私は、辺りを見回して言う。
ーこのフロアは、彼女[レイ]そのもの……。ー
ダニー先生の先程の言葉が、
私の脳裏を横切った……。
このフロアが……、
レイそのものだとしたら……。
レイは、一体……。
私の胸中を、"嫌な予感"が渦巻く。
その"嫌な予感"を、頭を振って打ち消した。
……と、そこへ、
「……何やってんだ。」
……と、少し呆れたようなザックの声が届いた。
『あ、いや……。
何でもない。』
「…嘘言うんじゃねぇ。
俺は嘘が嫌いなんだよ。
……嘘吐いて誤魔化してるっつーことことくらい、
馬鹿でもわかる。
顔に、"不安だ"って、書いてあったしな。」
言葉だけでは、
責め立てるように聞こえなくもないその言葉の
その声音は……、
不思議と優しくて、
穏やかだった……。
『……ごめんね。
今は何も…聞かないでほしい……。』
「……わぁーったよ。
いつかお前が、自然と"そういうこと"を話してくれるように……、
俺、頑張ってみるからよ……。」
『……。
うん…ありがとう、ザック。』
ザックのそんな言葉が嬉しくて、
私は軽く微笑んで言った。