The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第16章 Floor B1 ー地下1階ー
「……そんな口を利くなよ、ザック。
僕は、レイチェルを殺しはしないさ。
____……でも、
僕には今、カードが揃ってる……‼」
演劇がかったように、そしてわざとらしく
もったいぶるように間を開けて、息を吐いて……
それからダニー先生は続ける。
「ふふ……。
レイチェルの身の安全。
そして、このビルの出口の在り処だ……‼」
「……あぁ!?」
『ざ、ザック……。
少し落ち着いて聞いて……?』
苛立った様子で声を荒らげるザックに、
宥めるように、彼の袖をそっと引くと……
ザックは舌打ちを吐き捨てて、身を引いた。
その様子を察したのか、
ダニー先生が再び話し始めた。
「……なぁ、ザック。
その使えない頭で、よく聞くんだよ?
……君は、
文字も読めない、愚か者だからね……。
____そんな君に、
ヒントと救いの手を差し伸べようって言うんだから‼」
直後……
ザックが、私の隣で息を呑む気配を感じた。
……そして、
ギリッ……と、
歯を噛みしめて、歯軋りをした。
ザック……。
自分を、責めているの……?
ザックは、
馬鹿じゃないだよ……。
だって、
今までのザックの言葉で、
私は救われたんだもん……。
ザック……。
貴方は……馬鹿じゃない……____