The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第16章 Floor B1 ー地下1階ー
「……。
__ああ、よかった‼
うまく追い出せた‼」
『……っ!?』
「てめぇ……っ‼」
『……ダニー…先生……?』
私は、驚いて……
それきり絶句するしかなかった。
「全く、ザック。
君ってば、なんでも壊せばいいってもんじゃないよ?」
驚く私達をよそに、
ダニーは楽しそうに、笑みを含んだ声音で言う。
「……おい、悠。
そこを退いてろ。」
低く声を放ったザックに、
私は1つ頷いて従う。
……すると____
ーガンガンガンッ‼ー
ザックが、思いっきりドアを蹴った。
だが、ドアはびくともしない。
苦しくて唇を噛んだ私の耳に、
ダニー先生の嬉しそうな笑い声が響いた。
「____やぁ、ザック。
そんなに強く扉を叩くんじゃないよ。
疲れて寝ているレイが、起きてしまう。」
「……ダニー、テメェっ‼」
ーガンガンガンッ‼ー
再びザックが、
怒りに任せてドアを蹴った。
すると、ダニー先生が言った。
「残念‼
君の馬鹿力でも、開かないよ‼
ここのフロアの扉は、こう見えて頑丈なんだ。」
「おい‼
どういうことだ‼
開けろ、ダニーっ‼」
蹴ったり殴ったりを繰り返しながら叫ぶザック。