The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第16章 Floor B1 ー地下1階ー
ザックは、
テレビに向かうようにして設置されてあるソファーを、
じっと見つめている……。
その大きめのソファーには、
不自然に縫い合わせられた人形が……
2つ…………____
抱きしめ合うようにして、並んでいた。
『……大きな、人形……?』
「今更死体なんざ、驚かねぇけどな。」
呟く私に、同様に呟くようにして答えるザック。
レイはその間、浅く呼吸を繰り返している。
「……あ、
あぁ…………。」
嘆くように、小さく声を洩らしたレイは、
ザックに詰め寄った。
「……ザック、お願い。
お願い、お願い……‼
お願い、殺して。
早く殺して。」
「……お、おい。
急になんだよ‼」
小さくとも、迫力のあるその様子に、
ザックは気味悪そうに……あるいは困惑したように……、
顔を歪めながら後ずさって、たじろいだ。
「……これ……。
この、本……。」
暗くてよく見えないが、
レイが眺めているその物体は、
どうやら、何かの本らしい。
レイはその本に歩み寄って、
両膝をついた。
「……あ……。
あぁ…………。」
レイは絶望したような、
あるいは落胆したような声を洩らした……。