The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
『…ん〜……。
別れ道、か……。
どっちへ行く?レイチェル…。』
「…あっちには、あまり行きたくないな……。」
私が訊ねると、レイチェルが人差し指を一本立てて言う。
指し示された方には……
乾いたたくさんの、大きな血溜まりがあった……。
……うん。
私も、行きたくはないぞ〜…………。
『じゃあ、こっちへ行こうか……‼』
「…ねぇ、悠……。」
『ん?
どうしたの、レイチェル…。のわっ!?』
私はレイチェルに訊ねようとして、変な声を上げた。
「……また、別れ道……。」
『……うーん。
じゃあ、さっきとは逆の…右側へ行ってみようか…。』
「……うん。」
手を再び繋ぎなおして、1本の道を進んでいく……。
…少し歩くと、ぽつんと、少し寂しそうなドアを見つけた。
「…非常口……?」
レイチェルの小さく呟かれた疑問に、私は答えた。
『……いや。
よく見ると、小さくEV[エレベーター]通路って書いてあるよ。
きっとこの奥にエレベーターが…。
……っていうか、まだエレベーターあるんだね…。』
能天気な声を上げる私に対して、レイチェルは不安そうな声を零した……。
「……でもこのドア、鍵穴がないね…。
さっき悠が見つけてくれた鍵が使えない…。
他を探さないと……。」