The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第15章 Trial ー裁判ー
「B1へと向かうエレベーターは、
私が既に見つけております。
皆様の準備が整い次第……
参りましょう。」
『……私は、
もう大丈夫なんだけれど……。』
セバスチャンの声に、
私は言いながら、そっとザックにへと視線を向ける。
「……なんだよ。
降ろさねぇぞ……。」
『降ろしてよ……っ‼
って、そういう意味で視線を向けたんじゃないっ‼』
私の不服そうな叫びを
気にする様子はなく、
ザックはセバスチャンやレイに続いて、
スタスタ……と歩いていく。
教会の端にあったタンスの裏に、
隠し通路があったらしい。
廊下を進んでいくと、
1つの棚があった。
「……ここで、
神父様に薬を貰ったの。
……ダニー先生が持っていたのを、
取り上げたらしいんだけど……。」
不安そうにレイが言う。
……確かに、グレイ神父は
何処か不思議な雰囲気を持っている人だ。
……だが、人を試すような態度以外は、
そう悪い人ではない。
私は思わず苦笑した……。
その通路を進んだ先に、
エレベーターがあった。
私が考え事をしているうちに、
ザックが歩を進めていたらしい。