The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
悠を抱きしめたまま、
俺はしばらくの間、うとうとしていた……。
「……ああ、生きているんだね。
良かった。
……でも、こんなに弱ってしまって……。
とどめを刺してあげようか…____2人とも。」
「……っ!?」
聞き覚えのある声に、俺はハッとして身構えた。
「____やぁ、おはよう。」
「……なんで、
テメェが生きて……。」
思わず驚いた声を洩らすと、
ダニーはふっと笑った。
「……はは。驚いたかい?
君がレイチェルや悠を追いかけて、
フロアから出ようとしていることを、僕は知っていたんだよ。
だから念の為にね、服の下に安全対策の
チョッキを着ていたんだよ。
……でも、防弾チョッキも、
持っていた輸血パックも……。
威力負けして、この有様だけどね。」
ダニーはさして堪えた風もなく、
肩をすくめて笑いながら言う。
俺は、グッと鎌を握りしめる。
「……じゃあ、もう1回……
斬り殺してやるよ……。」
こいつを殺しておくにこしたことはない。
……悠や、レイを護るためにも、
殺しておいた方が良いんだろう。
……だが、
意に反して…身体が思うように動かない……。
クソッ……。
どうなってんだ、これはよぉ……。
平気だと思い込んでいたが、
案外……疲れが溜まっていたのかもしれない。