The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
Side of ザック
「……悠?
……おい、悠。」
反応の無くなってしまった悠の肩を
揺すってみようかと思ったが、
悠の穏やかな寝息が聞こえたので、
やめておいた。
「……俺も、少し寝るか。」
悠が眠ってしまって、
暇になった俺は、独り言を呟いた。
……悠を、
自分の腕の中に閉じ込めるように
背中から抱きしめると……、
悠はすっぽりと俺の中に収まった。
……なんだかんだ言ってて、
お前も細っせぇな……。
[自分の身は自分で守れる。]
[……私は、
誰かに護ってもらうほど、弱くはないよ。]
悠の言葉が脳裏をよぎる。
悠は、
俺に護られたくねぇって言うのか……?
俺だって、
お前を護ってやりてぇのに……。
俺は弱くない。
俺は、お前を護りてぇんだよ……。
グチャグチャに掻き回されたみたいな、
気持ち悪ぃ感情を抱きながら、
俺はそんなことを考える。
……なぁ、悠。
お前の気持ちが、知りてぇ…………。