The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
『……ザック。
あったかいね。』
「話さなくて良いっつったろーが……。
……そりゃあ、まぁ……。
生きてんだから、当たり前だろ。」
ザックが頭上で苦笑する気配がする。
話す度に、私の髪に彼の吐息が触れる。
……何故だか、
いつまでもこうしていたい気分になった。
……とても、落ち着く……。
『……ふふ。
そうだね。
私達は、まだ生きているんだ。
こんなこと、当たり前なのに、
今まで忘れていたな……。』
「……なんだそりゃ。
お前、俺以上に馬鹿だな。」
『う、五月蝿いな……。』
ザックに笑われて、
私は不機嫌な声を零す。
当のザックは気にしている様子も無く、
再び私を、
強く……。
だが、壊れ物でも扱うかのように
優しく……。
深く抱きしめなおしてくれた……。
会話が途切れてしまったその時。
私の意識は既に……
深い闇に落ちていこうとしていた……。